現生鳥類は絶滅恐竜そのものだった!鳥と恐竜の共通点に迫る!

ジュラ紀の恐竜と現生鳥類イメージ画 鳥と恐竜
まめ
まめ

わたしたち鳥類は、かつて地球上を支配した恐竜の子孫なの?

まめさうるす
まめさうるす

まめはこんなに小さくて可愛いけど、恐竜全盛時代に恐れられていた獣脚類じゅうきゃくるいとよく似た特徴があるよ!

白亜紀末の約6600万年前に起こった恐竜大量絶滅事件(K-Pg境界イベント)は、地球史上最も有名な絶滅事件の一つです。

この絶滅事件により、地球上の恐竜のほとんどが絶滅しましたが、鳥類は恐竜の中で唯一生き残ったグループとして続いていき、その後の進化の過程で多様な形態や生態系を発展させてきました。

現代の鳥類は、恐竜時代から続く驚くべき生物なのです。したがって、鳥類は獣脚類の一部であり、獣脚類から進化したというよりも、獣脚類の一部が鳥類に進化したという捉え方が正確なのです。

まめ
まめ

インコやオウムと暮らしている人は、恐竜と暮らしているってことだね

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恐竜学の進歩


初期の恐竜学から現在までの進歩は著しいものがあります。初期の恐竜学は19世紀から始まり、その時代には恐竜の化石が発見され始め、最初の恐竜の記載や命名が行われました。

しかし、その時代の技術や知識水準では、恐竜の生態や進化に関する理解は限られていたのです。

現在恐竜学は初期から比べて大きく発展し、より深い理解と新たな知見が得られるようになりました。

変化する恐竜の姿

初期の恐竜学で恐竜の姿は、四足歩行姿で描かれていました。

時代が進み全身の骨格化石が見付かり、恐竜の体の構造や大きさ、姿勢などが正確にわかるようになったおかげで、現代の図鑑にある鳥にそっくりのカラフルな羽毛恐竜の姿になっていきます。

巨大爬虫類だった恐竜

イグアノドンのイメージ
イグアノドンのイメージ

歴史上、初めて恐竜として認識されたイグアノドン。1825年にイギリスで発表されました。この時代の恐竜は、巨大な爬虫類のような姿で描かれています。

まめさうるす
まめさうるす

全身の骨が見付かっていたわけではないので、恐竜のこの頃の恐竜のイメージは、現生爬虫類からの延長スタイルというわけですね。

獣脚類の立ち姿の変化

現在のティラノサウルスと30~40年前のティラノサウルスの立ち姿。
ティラノサウルスの今と昔の立ち姿イメージ

恐竜の体は、骨盤を頂点にして背骨、首の骨、尻尾の骨などを靭帯で引っ張り上げて姿勢を維持しています。頭から尻尾にかけて、まるでつり橋のように直線的な形を保っています。

ところが、死後靭帯は乾燥で大幅に縮んでしまいます。

そのため化石は、生きている時の姿とは全く異なる、背筋を大きく反り返らせた状態で見つかることが多くなります。直立の状態です。

まめさうるす
まめさうるす

昔の研究者が、上記のような死後に起こるプロセスを知っていたら、ゴジラは生まれなかったかもしれませんね。

羽毛恐竜が図鑑に登場

1861年の始祖鳥の発見から、鳥類恐竜起源説がはじまりました。1995年と、1996年に中国の東北地方遼寧省りゃおにんしょうで『中華竜鳥ちゅうかりゅうちょう』が相次いで発見されると、鳥類恐竜起源説は再び活発に議論されるようになりました。

向き合った羽毛恐竜のイメージ。
向き合った羽毛恐竜のイメージ

恐竜の色

現在の科学では、ほとんどの恐竜の皮膚や羽毛の色はわからないと言われています。そのため、図鑑に描かれる恐竜の色は、イラストを描く方のイメージと、現生生物を参考にしています。

恐竜学が始まった当初の巨大爬虫類時代は、現生爬虫類を参考にしていたため、グレーや茶色の地味な色で描かれていました。

しかし、羽毛恐竜が発見され鳥類恐竜起源説が盛り上がってくると、現在の鳥類の様に、異性へのアピール手段として、カラフルな羽毛や、飾り羽などを活用していたこともほぼ確実になってきています。

シノサウロプテリクスのイメージ
シノサウロプテリクスのイメージ

生物の教科書の表記は「始祖鳥」?「シソチョウ」?

1995~1997年頃、中学の生物で教科書の表記を『始祖鳥(漢字表記)』にするか、『シソチョウ(カタカナ表記)』にするかが問題になっていました。

シソチョウは、中世代ジュラ紀の化石として発見されましす。

その骨格や特徴から、爬虫類から鳥類への進化の橋渡し的存在とされていました。しかし、研究により、その位置付けについて再考する必要が生じます。

次々と見付かる恐竜化石の中に、鳥のような特徴を持つものが見つかり、これが鳥類の直接の祖先である可能性が示唆されてるようになりました。

シソチョウは、くちばしに歯があり、翼に爪を持つなど、現生鳥類というより爬虫類的な特徴を持っていたので、カタカナ表記にすべきでは?という論争があったのです。

まめさうるす
まめさうるす

以前は鳥類の祖先とされていた生物についても、新たな見解が示されています。科学の進歩によって、従来の理解が修正されることがあることを示す良い例ですね。

かぎ爪の発見と恐竜恒温動物説

1本のかぎ爪の発見の発見から、研究者たちは、次の様な仮説を立てていきました。

  1. 気温により体温が変わる変温動物だと俊敏な動きができず、この鋭く可動範囲の広いかぎ爪の使い道がなかったはずだ。
  2. 体温をほぼ一定に保つことのできる恒温動物だとしたら、このかぎ爪を使いこなせるのではないか。

※ 現代では、変温動物と恒温動物に分類できない生物もいることが分かり、『変温動物・恒温動物』という分け方は、科学的には使われなくなってきています。

ちなみに、映画『ジュラシックパーク』に登場するラプトルは、この全長2.5メートルほどの小型肉食恐竜ディノニクスがモデルです。恐竜温血動物説を忠実に再現している部分も、映画の見どころですね。

ディノニクスのイメージ
まめさうるす
まめさうるす

映画の中で、ラプトルが走り回る姿や、ラプトルの鼻息でガラスが曇るシーンは、やっぱり恐竜は恒温動物だったんだ!と感動しました!

次々と見つかる恐竜と鳥の共通点

卵をふ化させるため体温で温めていたことがわかり、鳥と恐竜にしか見られない身体的な特徴が次々と見付かったことで、鳥は恐竜時代からの生き残りだということが、ほぼ確実になりました。

次から、恐竜と鳥の共通点について詳しく説明していきます。

共通点①卵を産んで親が体温で温める

オヴィラプトル科の恐竜キチパチの抱卵イメージ
キチパチの抱卵

鳥に近い獣脚類のオヴィラプトルやマ二ラプトル類は、地面に円形の浅い穴を掘り、中に卵を産んでいたことが化石からわかっています。卵は、穴の外周に沿うように並べられていました。巣の中央に座り体を卵にかぶせて、温めたり敵から守っていたのではないかと、推測されています。

また、異なる環境の様々な場所で化石が見付かっていることから、地面の状態を利用して地熱で卵を温めるのではなく、多くの鳥のように卵を体温で温めていたのではないかと考えられています。

まめさうるす
まめさうるす

ちなみにオヴィラプトルの名前の由来は、ラテン語の『卵泥棒』です。卵の近くで化石がたくさん発見されていたので誤解されていました。本当は卵を泥棒していたからじゃなくて、卵を温めていたのですね。

まめ
まめ

骨の化石から、オスのキチパチが卵を温めていたことがわかっているよ!現代のダチョウやエミューのように、オスが献身的に抱卵して、雛がかえったあとも子育てするイクメン恐竜だったのかもしれないね。

共通点②ふ化前の赤ちゃんが鳥とそっくり

近年、オヴィラプトル科の恐竜の、状態のとても良い卵の化石が見つかり、卵の中にいる赤ちゃんが、鳥のふ化前の赤ちゃんとそっくりだったということが、ニュースになっていました!

まめさうるす
まめさうるす

羽毛や抱卵、卵の中の赤ちゃんの姿が類似していることは、鳥類と恐竜の間の緊密な関係を裏付けていますね。

共通点③叉骨(さこつ)

左右の鎖骨が融合しV字型になった骨『叉骨』。鳥が羽ばたくとき、バネの様に補助となるこの骨は、現在鳥類だけに見られる特徴です。

鳥類だけに見られるこの骨が、なんと恐竜の化石からも骨が見付かっています。叉骨が、鳥になる前に進化したことも明らかになってきました。

人の鎖骨と鳥類の叉骨、恐竜の叉骨のイメージ。
人の鎖骨、鳥類の叉骨、恐竜の叉骨のイメージ
まめさうるす
まめさうるす

叉骨は化石として残りにくいということもわかっているそうです。恐竜化石に叉骨が確認されて良かったです。

共通点④気嚢(きのう)システム

鳥は、肺に繋がった風船のような袋(前気嚢ぜんきのう後気嚢こうきのう)を持っています。気嚢は、以下の様に機能します。

  1. 息を吸う ⇒ 気管、気管支を通り肺を通過した空気は、後気嚢に到達。(後気嚢が膨らむ)
  2. 息を吐く ⇒ 後気嚢が萎み、肺に空気を押し出す。その際、空気がガス(二酸化炭素)に交換される。
  3. また息を吸う ⇒ 肺の中の二酸化炭素を含む空気が、前気嚢に送られ前気嚢が膨らむ。
  4. また息を吐く ⇒ 前気嚢が縮んで、二酸化炭素が吐き出される。

気嚢システムが優れている点は、息を吸うときも吐くときも、常に新鮮な空気(酸素)が肺の中にあるということです。

まめさうるす
まめさうるす

ヒトは、息を吐くとき酸素が吸えないのに対して、鳥は息を吐くときも酸素を取り入れることができるなんて、鳥の呼吸は効率良すぎです!

この気嚢システムが、白亜紀に生息していた獣脚類にも、三畳紀に生息した原始的な獣脚類にもあったと考えられていて、気嚢は鳥類が進化するよりずっと前から、恐竜で進化してきたものと考えられるようになってきました。

鳥の肺と気嚢システム、恐竜の肺と気嚢システムのイメージ。
鳥の肺と気嚢システム、恐竜の肺と気嚢システム

3本の指問題

原始的な獣脚類の前肢の指の数と、それが退化した指、退化せずに残った指が何指だったかというところに、現生鳥類との違いがあるという問題がありました。

まめさうるす
まめさうるす

鳥が獣脚類から生まれたとすると、一度退化した薬指が再び現れ、親指が退化するという複雑なベントが生じなくてはならなくなってしまうということから、現実的ではないよねと考えられていました。

まめ
まめ

この指の大きな相違点は、恐竜起源説の唯一の弱点だったんだよね。

3本の指問題が2011年ついに解決!

研究者が、ニワトリの指の発生を追跡し、途中で指の原型となる細胞にずれが生じることが確認し、鳥類の3本指も恐竜と同じ、親指、人差し指、中指であることがわかりました。

まめさうるす
まめさうるす

恐竜起源説において最大の矛盾点が解決されたのがつい最近の話なことは驚きです。

まめ
まめ

ここまできたら、わたしはもう恐竜でいいんじゃない?

鳥類への意識の変化(まめさうるす視点)

現在の鳥類が恐竜だと知ってから、動物園で見かける鳥、道を歩いていていて出会う鳥、すべての鳥への尊敬の念が止まりまらなくなりました。

鳥たちは、遥か遠い太古の地球を生き抜いてきたのです。最近ポッと出てきた人類など足元にも及びません。鳥たちを近くに感じると、その壮大なストーリーが頭をよぎり胸を震わせ、鳩が汚いとか、カラスが怖いとかそんな気持ちはすっかり消えてしまいました。

鳥の鳴き声を聞けば現代に生きながら恐竜の鳴き声を聞いているんだと、毎回感動してしまうのです。

最後に

手の平に乗る恐竜のイメージ
手乗り恐竜

今回お伝えしてきた恐竜と鳥の数々の類似点から、今では現代の鳥類は恐竜の一派であり、進化の過程で恐竜から派生したものと見なされています。

現代を生きる鳥たちが恐竜だったお陰で、絶対に不可能と思えた子供の頃からの夢、「手の平サイズの恐竜と暮らす」は、あっけなく叶ってしまったのです。

我が家の小さな恐竜、おかめいんこのまめが叶えてくれました。いつもまめ越しに恐竜を見ています。いつも恐竜と触れ合っています。

今、とても幸せです。

参考図書:平山 廉.新設 恐竜学.株式会社カンゼン,2019,207p.

新説 恐竜学 単行本(ソフトカバー) – 2019/6/24

平山廉 (著)

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