鳥たちの求愛行動おかしくてドラマティックでかなりヒト的

愛し合う鳥たちの様子を描いた絵 世界の鳥

色鮮やかな美しい羽で、メスたちを虜にする鳥、時間をかけて愛を深め生涯を共に過ごす鳥、人と変わらない、むしろそれ以上の音楽的センスでラブソングで愛を伝える鳥、贈り物を使って愛を告白する鳥...。

鳥の世界を知れば知るほど、人と何が違うのだろうという気持ちにさせられます。

今回は、そんな愛すべき鳥たちの、心を打つ求愛行動をご紹介していきます。

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感動的な鳥たちの求愛行動

鳥たちの求愛行動は、時に感動的であり、その純粋さと繊細さに心が打たれます。ここでは、色んな鳥の特徴的な求愛行動を紹介します。一緒に、その魅力に触れていきましょう!

自慢の美しい羽で魅了する鳥

鳥の世界では、オスの羽の色彩がメスよりも優れていることがよくあります。このことを性的二型せいてきにけい1と言います。この美しさは、パートナー選択のプロセスにおいて進化してきたのではないかと考えたのはダーウィンでした。

一夫多妻の鳥や、一夫一妻でも毎年新しいペアを作る鳥は、メスによる選り好みの対象にされていることが分かっています。そのため、美しい色彩という方向へ性淘汰が働いてきたという訳です。

インドクジャク

インドクジャク。美しい羽を広げてメスにアピール。冠羽も美しい。
美麗な羽。。インドクジャクのオス。

インドクジャクには、性的二形が存在します。一般的に、インドクジャクのオスは美しい羽毛や長い尾羽を持ち、特に尾羽が非常に豪華で美しいです。

オスはこれらの美しい特徴を誇示し、求愛の際に独特のダンスを披露します。一方、メスはより地味な羽毛を持ち、尾羽も短く、オスほど目立ちません。

オシドリ

オシドリ。色鮮やかなオスと地味目なメス。
オシドリのつがい

オシドリのオスは、その鮮やかな羽色で知られています。繁殖期のオスは、部位ごとに色が異なる華麗な姿をしています。

目の周りから上部は白く、嘴は鮮やかな赤色です。頭頂部から後方にかけては、緑色から褐色に変わる美しい羽毛が流れています。

頬から喉元にかけては、褐色のギザギザした羽毛が特徴的で、胸は深い紫色、腹部は白色です。翼には鮮やかな青が混ざっています。

繁殖期が終わると、オスの羽はエクリプスと呼ばれる地味な灰色に変わりますが、嘴だけは赤いままです。

一方、メスは全身が灰褐色で、目の周りは白く、目の後ろに向かって白い線が伸びています。嘴は黒色で、全体的に控えめな色合いです。

まめさうるす
まめさうるす

仲の良い夫婦のことを、オシドリ夫婦といいますが。オシドリは毎年新しいパートナーを求めます。ペアの間は、どこに行くにもいつも一緒で、ラブラブなんですけどね。

キジ

キジ。目立つオスと控えめなメス。
キジのつがい

キジのオスは、地味ながらも美しい羽色を持っています。頭部や首には青や緑の羽毛があり、首には白い羽毛が見られます。また、顔の赤いハート型が特徴的です。

胸部から腹部、そして背中にかけては、黒や白、茶色などの斑点縞模様が入ります。尾羽には黒い縞模様があり、繁殖期には尾羽を扇状に開き、メスに見せびらかします。

おとぎ話『桃太郎』でお馴染みのキジは、敵に遭遇した際には声を上げて敵の注意を引きつけ、奥さんや子どもたちを守ることもあります。その男らしさやカッコ良さは、多くの人々を惹きつけます。

ダンスで絆を深める鳥たち

長年にわたってつがい関係を続ける一夫一妻の鳥たちは、ゆっくりとダンスを交わしながら、、お互いの相性を吟味します。

タンチョウ

求愛ダンスを繰り広げるタンチョウのペアの情景。
タンチョウの求愛

タンチョウの求愛行動は、その美しい姿と繊細な動きが調和した壮観なショーとして知られ、観察者を魅了します。

2月から3月にかけて、春に卵を産む準備をするため、タンチョウは求愛の季節を迎えます。

オスとメスは大きく翼を広げたり、舞い上がったりしながら、向き合ってダンスします。首を上下に振りながら、美しいポーズをとり、高らかな鳴き声を上げることもあります。

メスはオスのダンスに興味を示し、ダンスに応えます。この美しいダンスは、タンチョウの夫婦を形成するための重要な役割を果たし、その絆を強めます。

タンチョウの深い愛情

夫婦になったタンチョウは、どちらかが亡くなって骨だけになっても、亡骸が消えて無くなるまで、その場を離れないといわれています。

雪に覆われ、まったく見えなくなるか、風で飛ばされて無くなってしまうか、その姿が完全に見えなくなるまで、亡くなったつがいに天敵が接近すると、タンチョウは追い払う行動をするそうです。

まめさうるす
まめさうるす

この愛の深さに触れると、感動して泣けてきます。タンチョウの絆は、生と死を超えて続く永遠のもので、その姿は美しい自然の中でさらに輝きますね。

アホウドリ

アホウドリの求愛の様子
アホウドリの求愛

アホウドリの求愛行動は、お互いに首を上下に振りながら鳴くことや、くちばしをカスタネットのようにカタカタ鳴らすことが観察されています。

カップルが形成されるまで、この求愛ダンスを2~3年繰り返します。一度夫婦になると、終生を共に過ごしますが、繁殖期以外の期間は別々に暮らし、繁殖期に同じ場所に戻って1年ぶりの再会を果たします。

まめさうるす
まめさうるす

求愛行動や特定のコミュニケーションパターンがペアを認識しているようです。

カンムリカイツブリ

カンムリカイツブリの求愛の様子
カンムリカイツブリの求愛

カンムリカイツブリの求愛行動の一部として、オスとメスが向き合って顔を横に振るという行動が観察されることがあります。

この行動は、パートナーとの絆を深めるためのコミュニケーションの一形態です。オスとメスが向かい合って顔を振ることで、お互いの存在を確認し合い、相手への愛情や興奮を示すことができます。

卵が産まれると、夫婦で抱卵し、卵からヒナがかえると夫婦で子育てする、愛らしいカイツブリ。ヒナをおんぶすることでも有名な鳥です。

複雑な歌声自慢の鳥たち

鳥類は世界中で約9000種存在しますが、そのうちのほぼ半数が鳴禽めいきん2で、更にその一部はきわめて美しい声で歌います。

まめさうるす
まめさうるす

鳴禽類は、音楽のセンスを持っていて、それは人と同じ意味で美しく音楽的です。美しい歌声でアプローチするロマンチックな存在です。

カナリア

カナリア
美しい歌声を披露するカナリア

カナリアの求愛行動は、特にオスが美しい歌声でメスを引き付けることが特徴的です。繁殖期になると、オスは鳴き声を高らかに響かせ、独特の美しいメロディを奏でます。

この歌声は、雄の健康状態や適性を示すと同時に、メスに対して自分の存在をアピールするための重要な手段です。

オスの歌声は、単なる鳴き声以上の意味を持ち、しばしば複雑なメロディやリズムを含んでいます。メスはこの美しい歌声に対して興味を示し、最も魅力的な雄を選ぶことがあります。

カナリアの求愛行動は、その美しい歌声と独特のメロディによって、観察者を魅了し、鳥の愛好家や飼育者に人気があります。

メスの選好と熟練オスの歌声

若いカナリアのオスは歌があまり上手ではなく、熟練の歌声を披露する大人のオスの方がメスにモテるのだそうです。

まめさうるす
まめさうるす

鳴禽類の幼鳥たちは、大人の歌を聞いて真似することで練習を重ね、熟練していきます。

スゲヨシキリ

スゲヨシキリ
鳴き声の美しさでメスにアピールするスゲヨシキリ

この鳥は、特に繁殖期において雄が複雑なさえずりを披露します。

この歌声は、独自のメロディやリズムを持ち、周囲の雌に自分の存在をアピールするための重要な手段となります。さらに、求愛行動の一環として、雄は高い木の上や他の目立つ場所で独特のポーズをとり、自分の美しさや健康状態を示します。

興味深いことに、雄の歌声の複雑さが、ヒナへの給餌量と相関しているという観察結果もあります。これは、雄の歌声が単なるアピールだけでなく、親の質や繁殖成功にも関与している可能性を示唆しています。

これらの行動は、親の行動と子孫の成長や生存に関する理解を深める上で重要な情報となります。

鳥たちの贈り物によるアプローチ

求愛給餌きゅうあいきゅうじは、多くの鳥類に見られる行動で、繁殖期においてオスがメスに対して行う重要な行動の一つです。

メスは、オスが持ってくる餌の量を見て、将来の夫の収入を評価しています。たくさんの餌を持ってきてくれれば、卵へ回す栄養も増え、丈夫で健康的な生存率の高いヒナが生まれる可能性が高まります。

また、抱卵中にメスが巣を空けて自分で採餌に行くリスクも回避することができます。

まめさうるす
まめさうるす

メスが現実的で厳しいのは、人の世界でも、鳥の世界でも同じかもしれません。

カモメ類の吐き戻し、ワシタカ類の空中給餌、カラスの求愛給餌、アジサシ類の魚のプレゼント。
様々な求愛給餌

カモメ・アジサシ

カモメやアジサシのような海鳥では、求愛給餌は特に重要です。オスが持ち帰る魚やエビのような餌は、メスにとって栄養豊富で健康な子孫を育てるための重要な要素です。

また、この行動はメスに対してオスの能力や資源を示す重要な手段でもあります。

ワシ・タカ

一方、ワシタカのような猛禽類は、求愛給餌を行う際に空中給餌という驚くべき飛行技術を披露することがあります。

この行動は、オスがメスに対して自分の能力や技術を示す一環と考えられていますが、その正確な目的についてはまだ研究が必要です。

カラス

カラスのような鳥類でも求愛給餌が観察されており、さらに相互に羽繕いをする姿も見られます。これらの行動は、仲睦まじく微笑ましい様子を私たちに見せてくれます。

飼育下のインコ

吐き戻しは、飼われているインコにもみられる行動です。男の子インコと暮らしている鳥飼いさんは、インコの求愛給餌(吐き戻し)を受けている人も多いようです。

プレゼントをする鳥たち番外編

プレゼントは餌に限ったことではないようです。中には、こんな素敵なプレゼントを贈る鳥たちもいます...。

フクロウ

フクロウが自分の羽を咥え、プレゼントに差し出してプロポーズしているイメージ。
フクロウのプロポーズ

フクロウのオスは、ちょっと変わったプレゼントを用意することがあります。自分の美しさをアピールするために、換羽期に抜けた自分の羽をメスに贈るのです。

これらの羽は、オスの健康状態や羽の美しさを示すものであり、メスにとっては魅力的な贈り物です。オスが心を込めて選んだ羽を受け取ったメスは、その美しさと特別感に心を奪われることでしょう。

こんなロマンチックな行動が、フクロウたちの間で愛を育む一環として行われているのです。

まめさうるす
まめさうるす

まるで人間の告白みたいです!

ニワシドリ

ニワシドリが住まいを装飾している様子
装飾品を集めてマイホームを飾るニワシドリ

ニワシドリは、メスに気に入られるためにお洒落な巣を建てることで知られています。

材料集めから帰ると、全体の色彩効果を検討するように後ずさり、巣の配置や色彩効果を検討し、頭を傾けて考えたり、配置を変えたりする姿が観察されます。

彼らは巧みな建築家であり、巣の外観や内装にこだわりを持ちます。美しい巣は、繁殖成功の鍵となるだけでなく、メスの心をつかむための重要な要素です。

ニワシドリのこの行動は、彼らの知能や創造性を象徴しています。

まめさうるす
まめさうるす

ニワシドリのこだわりと美的センスに脱帽ですね。

最後に

今回は、鳥たちの求愛行動を覗いてみました。鳥たちの世界を覗く度、その高度な知能と豊かな感情に、いつも驚かされます。

鳥たちも恋をしたり、夫婦で絆を深めたり、私たちヒトと何ら変わらないことに気付きます。

こんな愛すべき鳥たちの求愛行動を、遠くから見守りたくなります。

この先もずっと、鳥たちが恋をしてパートナーを見つけ、子育てを進めることができ、その世界が継続していくことを願っています。

脚注

  1. オスとメスで色彩や形状が著しく異なるもの
  2. きれいな声でさえずる鳥。

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