恐鳥類とは何ものか恐竜絶滅後の世界を闊歩した巨大な飛べない鳥たち

恐鳥類とは何ものか 恐竜絶滅後の世界を闊歩した 巨大な飛べない鳥たち 鳥と恐竜

恐鳥類きょうちょうるいは、新生代初期に現れた大型で飛行能力のない鳥のグループです。彼らは恐竜絶滅後の生態系で頂点の捕食者として存在しました。

この恐鳥類という用語は厳密な科学的分類ではなく、新生代に生息していた大型で飛行能力を持たない鳥のことを指します。

彼らはなぜ飛行能力を捨て、まるで先祖返りしたように獣脚類じゅうきゃくるいに似た体型や生態を獲得したのでしょうか。

まめさうるす
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さっそく、謎に満ちた彼らの魅力を一緒に見ていきましょう。

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恐鳥類とは何ものか

大きな体躯たいく1と強力な捕食能力を持ち、他の大型捕食者が比較的少ないという競争が少ない環境で、古代の生態系において優位に立っていた恐鳥類。

彼らの謎を解明するために、彼らの歴史を辿ってみましょう!

K-Pg境界イベント小惑星の衝突

約6600万年前、地球は巨大な影を落とす小惑星の襲撃に見舞われました。その衝突により、地上の恐竜たちの時代は終焉を迎え、生命の歴史が大きく転換します。

草食恐竜から肉食恐竜まで、全ての恐竜が絶滅の淵に立たされた中、哺乳類と鳥類が新しい環境や生活圏に対応するため、進化の過程で多様な形質や種に分岐していきます。

まめさうるす
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このような現象を適応放散てきおうほうさんといいます。

そして鳥類は獣脚類のような体形を獲得し、大型化によって飛べなくなりました。

絶滅した原始的な鳥類と生き残った真鳥類

ジュラ紀や白亜紀の原始的な鳥類は、前肢に指があり、顎に歯が生えているものが一般的でしたが、彼らは恐竜とともに全て絶滅しています。

生き残った真鳥類しんちょうるい2は、進化の過程で彼らの祖先が持っていた前肢の機能や顎の歯を失い、その代わりに高度な飛行能力を獲得していきました。

戻ることなく退化した前肢の機能

恐鳥類も例外ではなく、一度翼に進化した前肢は飛行能力を失った後も再び前肢としての機能を取り戻すことはありませんでした。

失われた歯は、猛禽類もうきんるいのような鋭いくちばしに取って代わります。

恐ろしい捕食者

強靭な首と鋭いくちばし

フォルスラコス科の恐鳥類として知られる肉食性の巨大な飛べない鳥の一種は、首の筋肉が非常に発達しており、柔軟性に富んでいました。

これは、彼らが重い頭部を支えることができ、驚異的な速度と力でハンマーのように強靭なくちばしを振り落とし、打撃することが可能であったということを示しています。

足跡化石から分かる狩りの様子

2023年、恐鳥類の足跡化石が初めて発見され、狩りの方法に関する大きな謎が解明されました。約600万年前の足跡は、彼らが獲物を蹴り、押さえつけていた可能性を示唆しています。

今回発見された足跡は、恐鳥類が2本の指でバランスを取っていたことを明確に示す決定的な証拠となりました。つまり、彼らは2本の指で走り、3本目は獲物を押さえつけるために使用していたことが確認されたということです。

まめさうるす
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この足跡の発見、実は前から研究されてたことを裏付けているんです!つまり、恐鳥類の中にもヴェロキラプトルやディノニクスみたいに速い足を持っていたものがいたってことが証明されたということです!

ナショナル ジオグラフィック”600万年前の「恐怖の鳥」の足跡を初めて発見、狩りの方法が判明 「恐竜絶滅」後に南米で長く繁栄、足が速く主に小さな哺乳類などを捕食か”, https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/101600527/ 2024年6月2日アクセス.

恐鳥類の種類

恐鳥類に関しては、現在までにおおよそ18種ほどが確認されていますが、これは逐次増加している分野であると言えるでしょう。

今でも新しい発見が続々と報告されていますので、新たな化石の発見や分析、進化の理解の深化によって変動する可能性があるからです。

まめさうるす
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恐鳥類の多様性や種の数についての知見が、常に更新されているところには、期待が高まります!

それではさっそく、どのような恐鳥類が存在したのか見て見ましょう。

ガストルニス科

6100万年前、ヨーロッパでガストルニス科の恐鳥が出現します。その後、5600万年以降北アメリカやアジアへと生息域を広げ、約4500万年前まで繁栄しました。

当時、これらの大陸は陸続きであり、彼らは自由に移動することができました。

ガストルニス・ギガンティア

ガストルニス・ギガンティア(イメージ画)

北アメリカでは、ガストルニス科の中で最大の種であるガストルニス・ギガンティアが現れました。

体高2.1メートル、体重175キログラムのこの巨大な鳥は、かつてはディアトリマとよばれていましたが、後にガストルニスに含める考え方が広がりました。

この鳥は巨大なくちばしを持っており、肉食性であると推測されていましたが、そのくちばしは肉食の鳥の特徴である鉤状にはなっておらず、鉤爪もありません。

そのため、草食性であった可能性が高いとされています。

顎の頭骨をCTスキャンした結果、ライオンと同等の顎の力を持っていた可能性もあり、肉食性を支持する科学者もいますが、化石のカルシウムからは現在の草食動物と類似していることも明らかになっています。

バストルニス科

3700万年前から2000万年前の、ガストルニス絶滅後の北アメリカにバストルニス科の肉食性の鳥が現れます。

バストルニス・ジオグラフィカス

バストルニス・ジオグラフィカス(イメージ画)

バトルニス科の最大の種であるバトルニス・ジオグラフィカスは、体高2メートルの巨体を誇り、当時の生態系で他の肉食の哺乳類とともに頂点を共有していました。

フォルスラコス科

5600万年前、南アメリカは海によって北アメリカ大陸から隔絶かくぜつされ、孤立していました。この孤立した環境は、独自な進化と長期にわたる繁栄を支えます。

中でも、ブロントルニス・ブルメイステリとケレンケン・ギレルモイは、生態系の頂点に君臨し、その圧倒的な体躯と恐るべき捕食能力によって、他の生物たちを席巻せっけんしていました。

ブロントルニス・ブルメイステリ

ブロントルニス・ブルメイステリ(イメージ画)

ブロントルニス・ブルメイステリは、1750万年前から1160万年前のアルゼンチンに生息していました。

この種は、最も体重の重い恐鳥類の一つであり、体高は2.8メートル、体重は400キログラムに達していました。

ケレンケン・ギレルモイ

ケレンケン・ギレルモイ(イメージ画)

ケレンケン・ギレルモイは、1500万年前のアルゼンチンに生息し、その圧倒的な体躯は3メートルに達し、体重は230キログラムにもなりました。

その頭骨は71.6センチメートルにも及び、鳥類史上最大のものとして知られています。

ティタニス・ワレリ

ティタニスワレリ(イメージ画)

ガストルニス科とバトルニス科が絶滅した後の490万年から180万年前の北アメリカ大陸に、ティタニスワレリが現れました。

この種は体高2.5メートル、体重150キログラムを誇る肉食の恐鳥類です。

ドゥロモルニス科

先住民族アボリジニが描いた壁画に描かれている鳥が、ドゥロモルニス科のゲニオルニスである可能性が高いとされています。

アボリジニがオーストラリアに到達した頃には、体高2メートルにも及ぶ恐鳥類であるドゥロモルニス科が生息していたかもしれません。

まめさうるす
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人類と恐鳥類が共存していた可能性があるという事実には、ロマンを感じずにはいられません。まるで冒険小説のような情景を想像させます。

ドゥロモルニス・スティルトニ

ドゥロモルニス・スティルトニ(イメージ画)

800万年から4万年前のオーストラリアに、体高3メートル、体重650キログラムもあるドゥロモルニス科最大の種、ドゥロモルニス・スティルトニが生息していました。

食性については謎に包まれており、一部の研究者は、ドゥロモルニス・スティルトニが大きくて強靭なくちばしを固い植物を潰すために使用していた草食種であった可能性を示唆しています。

一方で、その巨大なくちばしは肉食種だった可能性を示唆する研究もあります。どちらの説が正しいかは、今後の研究によって明らかになるでしょう。

ゲニオルニス

ドゥロモルニス・ゲニオルニス(イメージ画)

4万年前に絶滅した、体高2メートルのドゥロモルニス・ゲニオルニス。

アボリジニがオーストラリアに到達した時点では、彼らが描いた壁画に、ドゥロモルニス・ゲニオルニスの姿が描かれていたことから、ドゥロモルニス・ゲニオルニスが生息していたと推測されます。

ディノルニス科

哺乳類が生息していなかったニュージーランドで、草食性のディノルニス科が繁栄しました。

ディノルニス・マキシマムス(ジャイアントモア)

ディノルニス・マキシマムス(別名:ジャイアントモア)(イメージ画)

ディノルニス・マキシマムス(別名ジャイアントモア)は、鳥類史上最も背の高い種で、体高3.6メートル、体重250キログラムでした。

16世紀頃、気候変動やマオリ族による乱獲の影響で絶滅しています。

エピオルニス科の出現

草食の恐鳥類であるエピオルニス科は、マダガスカル島で独自の進化を遂げ、17世紀頃まで生息していました。

ヴォロンベティタン

ヴォロンベ・ティタン(イメージ画)

以前、体高3.4メートル、体重540キログラムのエピオルニス・マキシマムスが史上最も重いと考えられていました。

しかし、2018年の論文で、特大サイズのエピオルニス・マキシマムスの化石が、実は別種の新種、ヴォロンベ・ティタンのものであることが示されました。

体高3メートル、体重860キログラムという巨大なサイズのヴォロンベ・ティタンは史上最も重い鳥類とされています。

ダチョウ科

2019年の論文によれば、東ヨーロッパで180万年前にダチョウ科の巨大な鳥の化石が発見され、その鳥はパキストゥルティオ・ドゥマンセンシスと命名されました。

パキストゥルティオ・ドウマンセンシス

パキストゥルティオ・ドゥマンセンシス(イメージ画)

体高3.5メートルから3.7メートル、体重450キログラムと推定されるパキストゥルティオ・ドゥマンセンシスは、ニュージーランドに生息したエピオルニス科の鳥と匹敵するサイズです。

これにより、この鳥が史上最も背の高い鳥であった可能性もあると考えられています。

恐鳥類絶滅の謎

恐竜絶滅後、哺乳類に先駆けて生態系の頂点に君臨し、数千年に亘り世界各地で繁栄してきた恐鳥類

しかし、現在ではその姿を見ることはできません。アジアで進化を遂げた肉食の哺乳類が他の大陸に進出し、恐鳥類を絶滅に追いやったという説も一時期存在しました。

しかし、中国の河南省でガストルニス科の化石が見つかったことで、この説が疑問視されるようになっています。現在、恐鳥類絶滅の具体的な理由については、有力な仮説が提唱されていません。

まめさうるす
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恐鳥類の多くが謎に包まれていることから、その存在はますます魅力的でロマンチックですね。彼らの姿や生態に関する知識が進むにつれ、その神秘性がより一層際立つのではないでしょうか。

まとめ

今回は恐鳥類について説明しました。恐鳥類に関する知識を深めることができたでしょうか。

これらの生物の存在は、地球の歴史上の重要な一部であり、私たちの短い存在と比べると、その時間軸は驚くほど長いものです。

人類の歩んできた道が、地球の歴史におけるわずかな瞬間に過ぎないことを思うと、この惑星での私たちの存在の貴重さを改めて感じさせられます。

そして、この壮大なドラマを想像できる人類として生まれたことが、心から幸せであり感謝の念に満ちています。

脚注

  1. 体躯たいくとは、物体や生物の体の大きさや形、構造など、その物体や生物の全体的な外観や身体の特徴を指す言葉です。体躯は一般的に、身体の大きさや形態を表す際に使用されます。
  2. 真鳥類しんちょうるいとは、鳥類の進化の中で現在まで生き延びているグループを指します。これには、現代の多くの鳥類が含まれており、彼らは独自の特徴や進化を持ち、恐鳥類やその他の絶滅した鳥類とは異なる特性を示しています。

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